なぜ「明日学校に行く」と言うのに起きないの?

不登校の子が
夜「明日 学校に行く」 と言うものの、
翌朝になると 
起きられなかったり、調子が悪いと訴えたりして、
結局学校に行けない、となることがあります。

何度もくり返される内 
子どもの言うことが信じられなくなった親御さんも おられることでしょう。
いつもお子さんを見守ってくれている親御さんならではの御苦労だと
思います。

しかし子どもは、
「行く」と言っている時点では 行くつもりでいます。
しかし当日の朝になると、結局 行けないのです。

不登校はまず、
意欲のコントロールが難しくなることから始まります。

これまで学校に行っていた子(11歳以上)が不登校になる場合、
人間関係だったり勉強の躓きだったり家族関係だったり、
あるいは病気や環境変化など様々なストレスの積み重ねで
ある日 学校に行こうとしても出来なくなる、
行くと具合が悪くなる…
という、無意識にストレス対処にエネルギーを使い過ぎ、
疲弊してしまったケースが多いです。

しかし学校には行けずとも、
家でゴロゴロ、ゲームばかりして、友達とは遊びに行ったりしているので
エネルギーがない、意欲が出ないだなんて嘘のように見えます。

しかし、
自分の望むことをやることと、
他者から命じられたこと、
集団(社会)のルール『~べきだ』とされていることをすることは、
難易度が違います。

他者の望むことを理解し、他者の望みに合わせるよう自分の体を操作するのは
より複雑高度な脳の働きが要求されます。

その点、自分の好きなこと、したいことをするのは
操作も簡単で、かつエネルギーが回復する行動ですので
疲弊した心身でも割と楽にできるのです。

『他者から命じられた』ではなく
少しでも『自分で選んだ』と感じられるような声掛けにしましょう。
「朝だけどどうする?」
「学校行く?どうする?行く?行かない?」など、
相手に尋ねる言い方、相手に選ばせる言い方にして下さい。
(急かさず、考える時間を与えます)
 
 答えられない『よい子』も多いです。
 (「自分のことを自分で決めたことがない」
  「自分が何を好きか分からない」という子ほど重篤です。)
 答えるまで待つ時間がないという親御さんは、
 「〇時までに起きない時は学校には休むって言うね」など決めて、
 本人に事前に了解を取り、『他者に決められた』感を
少しでも減らしておくといいかと思います。

不登校回復に必要なのは自立心です。
自立心にはエネルギーと自信が必要です。
『自分で選び、その結果を引き受ける』ということの積み重ねが
自己効力感を回復させます。

すぐに再登校できることはないと思います。
しかし
『他人を安心させるため』『他人が言ってきたから』という理由での
再登校よりも、本人の中から出て来たエネルギーでの登校の方が
子どもの成長にとってとても価値あるものとなります。

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なぜか「死にたい」気持ちが出て来る

「『死にたい』
『死んだらどうなるんだろう』
最近、そんな考えが出て来るけど、何で?」
という相談を
生徒から受けることがあります。

お風呂に入っている時や眠る前、朝起きた時、
ボーっとしている時などに出て来るようです。

入浴時やボーっとしている時など、
いわゆるリラックス状態にあるときは
理性の働き(意識の検閲)がゆるくなりますから、
無意識にある様々な思いが
意識上に出て来やすくなります。

入眠時や寝起きなどの
意識がしっかり働いていない時も同様
無意識の思いとアクセスしやすくなります。

「死にたい」なんて考えが出てくると
ギョッとする人も多いことでしょう
”自分は死を望んでいるんだろうか!?” と。

しかし
人間の身体は本来
自らを滅ぼそうと望むことはありません。
『死にたい』という考えの根底には、
『本当はこんな生き方したくない』
という思いがあります。

「死にたい」という考えが出て来るようになった、
その場合はまず、
ここ最近の自分自身をふり返ってみましょう。
自分のことを、
ないがしろにしていなかったでしょうか?

他人のことや やらなければならないこと、
人が決めたことなどで
振り回され過ぎてなかったでしょうか?

人がどう思うか、人からどう思われるか、
自分のエネルギーを
人のことを考えるためばかりに使っていて、
自分を喜ばせること、労わることに
使っていなかったのでは?

「自分を犠牲にしている、
 自分の人生を生きていない、
 楽しんでない、
 こんな生き方嫌だ」、

頭ではそう思っていなくとも、
身体はそう感じているかも知れません。


「死にたい」は 
『今の自分はまるで生きてないよ!』
『エネルギーを外に使い過ぎ!』
『生きる喜びを充電して!』という
身体の声でもあります。

無視したりせず、
自分が喜ぶことを 自分にしてあげること。

何をしたら自分は喜ぶだろう?
しなければならないことに追われていた時、
本当は何をしたかったのだろう?

自分の関心がどこにあるかを考えることも
エネルギー補充になります。

もし思いつかない場合は
(相当疲弊しているということですが)
寝ることをお勧めします。
(睡眠は 究極の自己中心の世界ですから)

自分が主となる世界に没頭することで
エネルギーは補充されていきます。

なぜか「死にたい」という気持ちが出てきた時は
それだけ頑張っているんだと知って、
まず自分へのご褒美の時間を
用意してあげて下さいね。

(*過去のトラウマなどが出て来ているというケースもありますので
 心配な方は、専門家にご相談下さい)

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震災後の登園渋り

子どもの心はデリケートです。
直接の被災ではなく、テレビ画面上の出来事でも
強い衝撃を受け、心が不安定になることがあります。


震災以来、子どもが
母親にずっとくっついていたがるようになった、
学校や園に行くのを嫌がるようになった、という相談もあります。


そのようなお子さんのお母さんに
よくお勧めしている方法を、一つご紹介します。
それは…
 
◆子どもに、(親の)身代わりとしてのお守りを渡す

 (または 家族みんなでお守りを買いに行く) …です。

いたってシンプルですが、大事なポイントがあります。

このお守りによって
『自分は親(家族)に守られている』
『自分と親(家族)は繋がっている』と、
子どもに感じてもらうということ。


このお守りは

『親(家族)の保護』『親(家族)との繋がり』の象徴(シンボル)だと
子どもに思ってもらうということ。

小さい子にとって、
目に見えるシンボルというのは重要、かつ有効です。

渡し方も、
「あなたのためにわざわざもらってきたの」
「特別に作ったの」などの
〝特別”というスペシャル感を演出して下さい。

スペシャル感、上等感がある方が
〝大切なもの”という感じを抱かせられます。

人は不安が強くなるほど確かなものを求めます。
子どもは
〝大好きな親と繋がっている”という感覚から安心感を得ます。

シンボルを持たせてあげることで

視覚化され、安心感がより確かになります。
そしてお守りなので、いつも一緒でいられます。
(小さい子に有効な方法ですが、中学三年生でも効果ありました!)


不安になっている子どもと一緒にいてあげられない、
そんな時には

身代りのお守りを持たせてあげると
こどもの不安は軽減すると思いますよ。

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不登校の原因が分かりません





不登校の原因がわからない」

今年の相談で目立ったのが、

これまで登校渋りも不登校もなく、
友人関係も集団活動も勉強も 特に問題なく学校も好き。
なのに今 学校に通えない。
生徒さんも親御さんも 首をひねるばかり。
もしかしてそれは…
自律神経の乱れから起こっているのかもしれません。

2023年、今年の夏は
1989年の統計開始以降、最も高い平均気温となりました。
その異様な暑さだけでも
体には相当こたえていたことでしょう。

​​夏の疲れもたまったまま、
厳しい残暑は秋になっても収まらず
10月となっても
全国的に平年より高い気温が続きました。
​​​
そして11月、
季節外れの暑さから一転、
気温は急に低下し 本格的な冬の寒さに…。

急激な変化に見舞われた今年。
自律神経の働きが乱れてしまったとしても、
何の不思議もありません。

自律神経とは​​24時間365日、
身体を最適な状態に保つために働いてくれている神経。
ストレス・生活習慣・気温の寒暖差などによって
働きが乱れます。

また、
2歳頃から10歳頃にかけてストレス的暗示を受けると
自律神経の乱れが起きやすくなるとも言われています。

その年齢の頃に
コロナ禍などで恐怖や不安を強く感じていた子達には
特に起こりやすいことかも知れません。
(参考文献:子どもの発達と診断3 幼児期Ⅰ)

自律神経の働きが乱れると、
本来持っている力を発揮できない、
気力が出ない、
ストレスを乗り越える力が弱くなるなど
さまざまな心身の不調が現れるようになります。

特に朝や休み明けの日など、
OFFの状態からONの状態に切り替えようとする時が
大きな負担が掛かる時。

そのような時は とても調子が悪く、
ネガティヴな感情に支配され
他人に命じられることが不快でたまりません。

意欲が出ない、身体がスムーズに動かない理由は
本人は分かりませんから
「起きられない」「学校行かない」ととりあえず答えます。
何故かと問われれば、
衝動的に思いついた理由を答えるしかありません。

​​​​​​​​​​こどもの『学校(園)に行かない』は
『エンジンがかかりません』『今、本調子じゃありません』の意味。

ここで
「学校に行かないなんて!」と
焦って無理にエンジンをかけさせ頑張らせるより
​ペースダウンを心がけましょう。
感情的になると 更なるストレスが加わりいい結果を生みません。

昼前や昼過ぎ、
夕方近くになるほど
気持ちも落ち着き
エンジンも回り出します。

そうなった時に、
「学校に行ってみてもいいかな」と
思えるようだったら行ってみる、
「教室に入れそうだな」と思ったら入ってみる、
​​​​「いや!無理!」と体が緊張するようなら今はやめておく。

これまでの
急激な変化の諸々に頑張ってこたえ
知らない内に疲れてしまっていた身体を労るよう、
ペースをゆるめて  
焦らず、できそうなことからゆっくりしていくと良いと思います。

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子どもが食事を一緒にしてくれません~不登校なり立て期

不登校になった我が子が、
部屋にこもりがちになったり食事も別にとるようになったり。
そしてそれを責めると今度は食事も食べてくれないように…。
そんな子どもの行動に、
どうしたらいいのか頭を抱えてしまっている親御さんもおられるかも知れません。

 

これまで特に問題なく学校に通えていた子どもが不登校になった…
そのような子が不登校になった場合、
最初は激しく動揺し、葛藤しています。
特に〝学校に行けなくなった自分”への責め苦、恥意識は相当なもので、
容易に受け入れることが出来ません。
そのため、不登校になったことを
誰か(教員、同級生、学校制度など)のせいにしていることもあります。

人間は、自分が受け入れたくない感情を、
自分が持っているのではなく他人が持っているものと認識することで自分を守る
"投影 (Psychological projection)”という心の働きがあります。

そのため、自分を責める気持ちを
親や同級生、教師の中に映し出し、
あたかも彼らが自分を責めているように感じるのです。

責めるような人もいないのに子どもが周りを避けている時は、
まだ自責の念が強い時。
特に父親は〝社会的権威者”というイメージも投影されやすいため、
子どもが社会に対して申し訳ないと無意識に思っているほど
避けられやすいでしょう。(各家庭での役割にも依りますが)


子どものそんな苦しい気持ちをよそに
「どうして一緒に食事しないのよっ」
と親側の気持ちだけを子どもにぶつけてしまうと、
子どもは
「分かってくれてない」と感じて、心を閉ざしてしまいます。

食事に関しては、
とりあえず食べているのなら良しとしましょう。
(※不登校になって痩せてきた、食欲がなくなってきた場合は、
 鬱の可能性があるので要注意)


手料理だと罪悪感を感じて食べにくいという子もいます。
バナナやミカンなどの果物、若者が好きそうなおやつや栄養補助食品などを、
本人が抵抗感なく、しれっと食べられるようなところに置いておきましょう。

特に親が何も責めてこない、自分にサポーティブだと子どもが感じ取れば、
気持ちが落ち着いてきます。
そうしてやっと、
心の扉を他人に対し少し開いてくれるようになります。


子どもが不登校になったばかりで心が激しく揺れている頃は、
”安定させること”がゴールです。
「学校に行っていないことを除けば(以前と同じ)普通の状態」という状態を
まずは目指すこと。

子どもの心と状況が安定して初めて
本当の気持ちやこれからのことなどについて、
話し合うことが出来るようになるのですから。

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こどもの潔癖傾向~コロナ後に見られた子どもの変化~

コロナ以降、潔癖症を疑う相談の割合が増えました。

もちろんコロナ前からも、
潔癖症、強迫行動の相談が来ることはありましたが、
そうしょっちゅうではありませんでした。
それも、
自閉症スペクトラムの子の「○○しなければ!」という〝こだわり”だったり、
PTSDやトラウマに対する反応だったり、
あるいは統合失調症の〝させられ体験”などによる潔癖行動の方が 多くありました。

しかしコロナ以降、
潔癖傾向が疑われる子の相談に
上記のどれも当てはまる様子がなく、
そして保護者の方いわく、
「もともと潔癖傾向だった子じゃないです、むしろ面倒臭がりなくらい。
 執拗にしている時とそうでない時があります」
という子の場合が殆ど。

これまで特に家庭に問題もなく、親子の仲も良い。
ただ、あまりに頻繁なので、
親としてはつい「やめなさい」と叱ってしまい、
今ではこの行動に 親子ともども振り回されてしまっている、と。

そこで
どんな時にその行動は出るのか、いつからか、
行動をする前と後はどんな気分になっているのかなど、
他にも分かることを親御さんから聞いていくと
どうも その子にとって
ストレスに思うことが始まった頃からであることが 判明。


こどもがストレスを抱えるようになると
物にあたったり、腹痛だったり、
何らかの問題行動や心身症状が出てくるのは よくあること。
しかし
「自分の身をきれい(清潔)にしなきゃ!」というカタチで出て来ることは
コロナ以来増えました。

保護者曰く
(子どもが)「何度も何度も洗ってます~」
「きれいになったか度々確認してきます~」
「アルコールのついたティッシュで拭いています~」
「唾や息がついているかもしれないからこれも汚いって言います~」

子どもの様子を聞きながらも、
(まるでコロナの時の対処行動のようだなあ…)と思ってしまいました。
それは
ストレス対処の方法が『清潔にすること』だと
コロナ禍において子どもたちの無意識に
刷り込まれてしまったからなのかもしれません。

 

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体調不良アピールをする生徒

学校で仕事をしていると時々、何かと体調不良をアピールしてくる生徒がいます。

やっている本人は
悪意も策略もないことが多いです。
純粋に
自分の気持ちを行動で表現しているんですね。

ただ、
周りの人達から見るとこういった行動は
「人を操作しようとしている」というように感じられます。
そこでイラっとされるんですね。

こういった子には
行動ではなく言葉で表現するよう導いていきましょう。


以前僕は
「ちゃんと言葉にして言って下さい。
 言葉で言ってさえくれれば、ちゃんとその通りにしますから。」

その女子中学生に伝えました。

彼女に自分の要求を言わせた後、
本当に、彼女が言った通りにしました。

そして彼女に関わる教員全員と 
『彼女が体調不良アピールをしてきたら
 どうしてもらいたいのか要求をきちんと言わせ、言ったらその通りにする』
(無理なものは無理と言って断ってもいい)
という方針で対応したら、
その後 学校で体調不良アピールすることなくなり
自分の要望をきちんと言葉で伝えてくるようになりました。
(病院などでは相変わらず
 体調不良アピールを繰り返していましたが。)


その時思ったのは、
ちゃんと気持ちを言葉にする練習を
面倒だからと、
子どもにさせて来なかったのではないかなぁ、
大人が聞く耳を持っておらず、
子どもが諦めてしまっていたのかなぁ、ということ。


日本人は「以心伝心」に頼りすぎて
ちゃんと言葉で気持ちを表現するという指導を
子どもにしてきていないのかもしれませんね。

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